ビスタワークス研究所の志事

 当時学生だった彼ら、彼女らに繰り返し伝え続けてきたこと・・・親に喜んでもらえる働き方をしよう。生まれ来る我が子の手本となる生き方をしよう。助け合い、尊敬し合える環境で働こう。高知でそんな職場を創り、全国に発信しよう、一度限りの人生を全力で生きよう・・・たとえそれが個人的な思いであったとしても、採用担当者として学生に語り、彼らがそれを受け、入社してきた段階で「約束」となります。約束は何としてでも守らなければなりません。
 採用の傍らで社内活動を進めました。辞めてしまうのは本人たちに問題があるのではなく、組織に問題があると考えたのです。なぜか・・・採用すべき人だけを採用しているはずだからです。様々なプロジェクトチームの創設、フィリピン研修、お遍路研修など奇異にも映る企画の実行、毎日のスタッフの働きぶりを伝えるホームページ製作、お客様対応システムの開発、そして日本経営品質賞へのチャレンジ・・・歩みを止めず、一歩ずつ前進してきました。
 やがて私が迎え入れたスタッフの数は、全社員の8割以上を占めるようになりました。一方で、組織内部の問題を解決するだけでは立ち行かなくなる未来も見え始めました。成熟社会の到来です。人口減少の続く高知県で、ネッツ南国1社が成功し続けることなど不可能なことです。どうしても求められる地域再生。それなしに、交わした約束を守ることはできない。そこで設立した会社がビスタワークス研究所です。
 今回ご紹介したインターンシップセミナーの運営や中高生のキャリア教育の推進活動、「まなともネット」や「キャリカツネット」「ナンカツドットコム」等々のホームページ製作など、すべて無償で運営しています。その一方で、県内の企業や施設、お店などの競争力強化を支援するための協議会を組織し、わずかな実費負担で参加できる継続型の学習会を年間に50本以上提供しています。そこで繰り返し人づくりの重要性を訴え、共鳴を引き起こし、前述のような利害を超えた協力関係を構築しているのです。国の補助金や助成金に依存することなく、この社会活動を継続するための経済をどう回すか・・・。これこそがビスタワークス研究所の大きなチャレンジです。(2/2)